NWSF傳畸ロマン カンテラ・サーガ、ピリオド3『泰西堂主人』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
事なしに濟みさうだな」と直感したのだが…。その願ひはすぐさま裏切られた。
「カンテラ、きみはタタリつて知つてるよね?」「タタリ?」「さうだ。實は今回の來日にも困つた事が付き纏つてゐてね」嗚呼、オーギュスタン! カンテラ的には彼はトラブル・メイカー。神秘的なものに憧れが強いお蔭で、しょつちゆう【魔】関連のトラブルに巻き込まれる。どの道、ケツを持つのは俺たちなのだ。カンテラは人知れず溜め息を吐いた。
「なんだい、困つた事つて?」「實はね」
 オーギュスタンの語るところに拠ると、ざつと以下の通りだつた。
 だうやら彼には刺客が差し向けられてゐるらしい。まあ、世界的なロックスタアともなれば、命を狙
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