NWSF剣豪ロマン カンテラ・サーガ、ピリオド3『からつかぜ』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
焼酎『奄美』などには目をくれず、アルコール度數75%の火酒をぐいと呷つた。これくらゐ度數が?くないと、こなれが惡く、人造の躰に障る、と云ふ。
 みなみな宜しく、と云ふ和やかな場であつた。

 ふと「彼女さんは? 置いてきた?」と安保さん。杵「えゝ、男同士の触れ合ひの場には邪魔かと」安「詩人なんだつて?」と、その時、
「詩を、預からせて貰はう」と、店に入つてきたのが此井功二郎コノイ・コウジラウ。カンテラ「これ、俺の相棒、此井功二郎。かう見えても(じろさんはダンディだが、本人は至つて風采が上がらない)霊長類最強つてぐらゐ、喧嘩が強い。古式拳法の達人だ。詩の愛好者でもある。悦美の父親」やあやあ。安保さんとじろさんの初老的心友的交流については、またの機会に。

 皆(カンテラ以外は)へゞれけになつて店を出た。午后十一時。氣のおけない所謂「角打ち」だつたが、それが却つて杵塚の心にぢん、と來た。身柄をカンテラ事務所に寄せる事は、その場で決意した杵塚だつた。


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