孤独感についてのメモ/由比良 倖
 

 部屋の中にいると、光の量の変化が殆ど無い。LEDの光と、カーテン越しのぼんやりした光。それから眼を心地よく刺激するディスプレイの光。たまに外に出ると、光そのものを呼吸しているような広々とした気分になれる。漠然と不安になるときもあるし、何か物語が始まるような、嬉しい期待感に満たされるときもある。光同士が反射し合って。陽の光が風に溶けて、流されて、呼吸する僕の肺の中に溶けていく。細胞が透明な光に満たされて、僕の輪郭は膨張していく。澄み切った孤独の中で、僕は雲や影と、とても個人的な、沈黙の会話をする。まるで古い歌集を真夜中、ひとりで読んでいるような気分で。

 気分が少し落ちている。ひとりで
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