暗転/栗栖真理亜
 

その圧倒的な力は点すら揺るがすほどだ
私は半ばその代え難い力に魅了され酔いしれる

突如壁が剥がれ落ちるように場面は変わり
爆音と銃声が耳を劈いた
建物は崩壊し人は血塗れで倒れ
女性は悲惨な表情で泣き叫んでいる
私は何が起こったのかわからず混乱しながら
辺りを見回した
目に留まったのは白い土壁の民家の前で
他民族の兵士が民衆に銃を向け
耳を劈くような銃声と共に
悲鳴を上げる民衆の目の前で土煙が上がった
兵士と同じ民族の入植者の男たちが
兵士の物陰に隠れながら
不気味な笑みを顔に貼り付けながら眺めている

これは地獄だ
この世のものとも思えないほどの悪夢が

[次のページ]
戻る   Point(2)