古井由吉『招魂としての表現』讀後/?任勇梓 Takatoh Yuji
とたけしさんは共に東京のごみごみした處で育つたが
他の共通項は知らない
然し古井氏は決定的に詩人で
自分のファンでいやうか、いまいか
それは許された事なのか
さう云ふ境地(他の小説家には私はこの表現は使はない)
に
遊んだ人であつた
だからこんなに
天才的な思考能力を持つてゐたのに
それを發揮するのに優柔不断とも見受けられる
態度を取つた-
はつきりやればたけし流の天才なのだ
ごによごによ口ごもれば
古井由吉なのだ
結局は古井氏の追随者は出て來なかつた
自分の中の詩人を苦蟲と見て
奥齒で?み潰してしまつた
一人の作家の物語である
#詩
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