de verbo ad verbum / nihil interit。 ──大 岡 信論/田中宏輔
先生にはじめてお目にかかりましたのは、もう十年ほども前のことになりましょうか。ユリイカの新人に選んでいただいた年のことでした。場所は、新宿の駅ビルにある PETIT MONDE という喫茶店の中でした。そのとき、先生は、さる文学賞の選考会のお帰りだったのですが、お疲れになったご様子など、まったく見られませんでした。まっすぐに見つめる方、というのが、第一印象でした。「おれは、体全体、眼になったのだ。」(「Pr?sence」第四歌)という、先生ご自身のお言葉どおり、全身を目にして見つめることができる方だと、目そのものになって見つめることができる方だと思いました。
いま、まっすぐに見つめる、と
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