弾丸旅行の目的/おまる
 
以上の幸福が果たしてあるのだろうかと思わせるほどだった。

黙々と食べる私たちの間に、言葉は要らなかった。
ただ、互いの箸の進む速さが、この一杯の素晴らしさを雄弁に物語っていた。

「これだよこれ、これを食べたかったんだ」

それにしても、なんとうまい肝吸いだろう...
箸休めに梅肉風味のきゅうりの漬物もいい仕事してる。

湯気の立つ器を両手で包み込みながら一口啜ると、寒さで冷えた体がほっと温まる。
優しい出汁の香りとほのかな苦味がアクセントになり、
鰻のよさを引き立てつつも、全体をしっとりと包み込む。

店内はこぎれいで、落ち着いた雰囲気で、それでいて、
おたかくとまってないのもいい。

まさに天理の至宝

食事を終える頃には、旅の疲れも忘れるほど満ち足りた気分に包まれていました。
旅の締めくくりにふさわしい一皿を味わえたことに、心から感謝。


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