人格と世界観7・自由の理念と思考?/ひだかたけし
ゲーテは、あるときこう語った―
「これら(私の著作)と私の存在そのものを理解した人は、それによって内的な自由を手に入れてくれるだろう」(官房長フォン・ミュラーとの対話)
ゲーテはこの言葉で、すべての認識行為のもつ効力のことを示唆したのだ。
周囲の対象を前にして、その対象の在りようが外から組み込まれた原則に従っている、そういう原則に支配されていると考える人は、
その限り自分の知らない力が対象に具わっており、その力が働きかけて、対象の法則を自分に強要してくる、と感じるだろう。
そういう人が事物に向き合うと、自分には自由がない、と感じてしまう。
自然の合法則性を硬直した必然だと感じて、その
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)