守り/よるもと
心の底を見つめても、
暗い雪景色をこつこつと歩く旅人の
足音が胸のなかで響いて
コートを前に合わせては
あんまり寂しそうにするので
悲しみがうつるじゃないか
心の底を見つめても、
普段通りに活気ある駅ビルで
目の前を通り過ぎる私は現実、
今日もよく頑張った、
と思う影でひそかにどこか信じられない
嘘である
何もかも
あなたも
私も
雨
の日には、寒さを我慢して
新しくなった巨大な建築物の
なかに入ることで、このぐんとした
平たいたてものにいることで
私のからだも平たく伸ばされるのであり、
平凡な前髪ですら
大衆の一部となって喜べる
ひとの烙印を
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