人間の撰択/川崎都市狼 Toshiro Kawasaki
 
生まれてきた者らの國と
生まれてこなかった者らの國
お前はどちらに
棲みたいのだ?

なべてこの世は撰択肢だらけ

自分で決めろ
と云ふ事だ、要するに

僕は自室に詰まつた
澤山の本の中から
故・谷川俊太郎氏の
『アルファベット26講』(中公文庫)を
撰び取る

所謂「國民的詩人」に
かやうなウィット溢れる人を持つた
我が國の詩的?況は
あながち嘆かはしいばかり
ではないぞ

との意を強める

僕が拔き出した本だ
撰択肢の件
何もむべに否定的見解だらけの目で
見るべきではないな

だが、(冒頭に戻る)
本当はお前
生まれてこなかつた者ら
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