深夜から夜明けに向けての数十行/川崎都市狼 Toshiro Kawasaki
 
冷たい牛乳には
もはや?々しい牧草の薫りは
しない
干し草の味がする
だけだ

僕は夜もすがら
睡魔と闘ふ日々は
棄てゝしまつた
創作の為だとか
さう云ふ事ぢやなしに

たゞ、夜更けを棄てたのだ

純粋神話を未だ温めてゐる人たち-
には惡いが
僕は詩で 詩の世界で
それなりに名をなしたい
とは思つてゐる

牛乳の話の
續きは
特にない
ホットミルクを安眠のとつかゝりにしてゐる
なんて挿話

は、ないのだ

朝6時
まだ暗い内に
起きるが

トーストが焼けたら
夢を唾棄すべし
そんな生活

嫌でも
僕に沁み込んでくる
トーストに塗つた
マーガリンのにほひ
朝は

救ひなのか
ねえ?
さつぱり
分からない儘
生は

續行。
旅立ちもなしに
(本物のバターぢやないといけない?)

旅立ちもなしに

#詩

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