THE GATES OF DELIRIUM。 ──万の川より一つの川へ、一つの川より万の川へと/田中宏輔
」(スチュアート・カミンスキー『隠しておきたい』押田由起訳)、「どこまで話したっけ?」(アーシュラ・K・ル・グィン『シュレディンガーの猫』越智道雄訳)。そうだ。二つの川が合わさるって話だった。しかしまた、「一、それは二である」(メリッサ・スコット『天の十二分の五』6、梶元靖子訳)。合わさって一つとなった川は、また分かれて二つになることもあるだろう。この言葉は、先の長明の言葉とともに、エンペドクレスの「ここにわが語るは二重のこと──すなわち、あるときには多なるものから成長して/ただ一つのものとなり、あるときには逆に一つのものから多くのものへと分裂した。」(『自然について』十七、藤沢令夫訳)といった言
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