THE GATES OF DELIRIUM。 ──万の川より一つの川へ、一つの川より万の川へと/田中宏輔
 
 いま、わたしは、西院というところに住んでいるのだが、昨年の三月までは、北山大橋のすぐそば、二十歩ほども歩けば賀茂川の河川敷に行けるところに三年間いた。その前の十五年間は、下鴨神社からバスで数分の距離のところで暮らし、さらにその前の六年間は、高野川の近くにアパートを借りて、学生時代を過ごしていた。それ以前は、東山の八坂神社のそばの祇園に家があって、そこで生まれ育ったのであるが、そこから京都随一の繁華街である四条河原町までは、歩いてもせいぜい十分かそこらしかかからなかった。子供のころから学生時代まで、河原町にはよく遊びに行ったが、その河原町と祇園を挟んで鴨川が流れている。京都の中心を流れているともい
[次のページ]
戻る   Point(9)