LET THERE BE MORE LIGHT。 ──光の詩学/神学的自我論の試み/田中宏輔
の根はいよいよ強い力で向かっていく──地へ、下へ、暗黒へ、深みへ」(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第一部、手塚富雄訳)。
ブロンテの詩句は、前の二行が意識にのぼる意味概念、後の二行が無意識領域の比喩としてとれる。カフカの言葉は、「無数の断片からなる単一の精神がある。」(ヴァレリー全集カイエ篇1『我』管野昭正訳)とか、「過ぎ去ったことがどのように空間のなかに収まることか、/──草地になり、樹になり、あるいは/空の一部となり……」(リルケ『明日が逝くと……』高安国世訳)とかいった言葉を思い起こさせる。ニーチェの言葉を、ブロンテの詩句と合わせて読むと、経験が重なれば重なるほど、知識が増せば増すほど、無
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