LET THERE BE MORE LIGHT。 ──光の詩学/神学的自我論の試み/田中宏輔
 
徴となっている。冒頭に収めた、引用だけで構成した、二〇〇ページ近くある長篇の詩で、筆者は、強烈な閃光が、森の様子をすっかり様変わりさせるところを描写したのだが、作品のなかで、その閃光を発するのは、イエス・キリストであった。

「日光のふりそそぐ大地の上に/春の草は青々と美しく生い茂る。/だが、地の下は真夜中だ、/そこでは永遠の真夜中である。」(エミリ・ブロンテ『大洋の墓』松村達雄訳)「僕タチハミンナ森ニイル。誰モガソレゾレ違ッテイテ、ソレゾレノ場所ニイル。」(G・ヤノーホ『カフカとの対話』吉田仙太郎訳)「人間は木と同じようなものだ。高みへ、明るみへ、いよいよ伸びて行こうとすればするほど、その根
[次のページ]
戻る   Point(9)