人格と世界観6・ゲーテの世界観と神秘主義(下)/ひだかたけし
 

 理念界の真の生命を感じ取れる人は、比類のない熱に包まれた世界本質を、
外にではなく、みずからの内に感じとる。
自分の内に世界の秘密があり、その秘密の火が自分の中で燃え上がるのを感じる。
ゲーテが「ファウスト」に、次の言葉を語らせたときの憧れをどう静めたらいいのか、
もはや此処に明白な人格の世界観が浮き彫りになる。

  無限の自然よ、どこにいるのか。
  乳房よ、どこにあるのか。すべての生命の根源よ、
  天も地もお前に頼っている。
  しなびた胸はお前を求めている。

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