WELCOME TO THE WASTELESS LAND。──詩法と実作/田中宏輔
 
、あたかも関連があるかのような印象が感じられたりする。しかも、全体を統一するある種の雰囲気が醸し出されている。出来上がった後は、どのメモも動かせない。一つでも動かすと、全体の統一感はもちろん、メモとメモの間に形成された所々の印象の効果もなくなる。「「偶然」は云はば神意である。」と、芥川龍之介は、『侏儒』に書いている。「偶然即ち神」とも。そういえば、プリニウスの『博物誌』にも、「偶然こそ、私たちの生の偉大な創造者というべき神である。」(第二十七巻・第二章、澁澤龍彦訳)という言葉があった。また、「神」といえば「愛」。「神と愛は同義語である。」(ゲーテ『牧師の手紙』小栗 浩訳)、「愛は、すべてを完全に結
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