俗・西遊記/栗栖真理亜
 
したんだ?そんな仏頂面下げて。何か悩み事でもあるのか?)
ええい、余計な心配を・・・。
そんなことなど気にかけぬとも良いのに、この猿は顔に似合わず気兼ねなどする。
「あ!!」
猿が突然大きな声を出したもんだから、その場に居た通行人も誰も彼もがビックリした顔をしてわれら一行のほうへ振り返った。
「もしかして、便秘・・・とか?そうならそうといってくれればいいのに。俺がひとっ飛びで便秘によく効く薬を買ってきてやるよ」
そう言うと、猿は意気揚々と豪快に笑いながら通りを大股で歩き出した。
単純な猿である。
でもまあ、私の思いを悟られずに良かった。
これも神仏のご加護かも知れん。
私が数珠
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