俗・西遊記/栗栖真理亜
 
幾人もの男たちと交渉を持って来たのだから・・・。

喋り終えると、自らをあの伝説の三蔵法師だと名乗る母は、ぷは〜っと煙草をふかしました。
母の口から吐き出された煙は気だるく辺りを漂い、まるで、今まで母が話して来た物語を淫靡に証明しているかのようでした。
そこで私は、「もしかしたら私はお釈迦様の子なのでは?」と尋ねてみました。
「お釈迦様の子、だって?」
母は突然おなかを抱えてげらげら笑い出し、あまりにも笑い過ぎて涙まで出る有様でした。
「そりゃあ、お釈迦様のお手引きによって、私の秘めたる蕾は快楽の波によって清められたが、種子が根付くほどの力強さはなかっ
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