あいうえおうた/鏡文志
万太郎和尚は、こう言うた。
「知の論理において揺れず、力によって負けた人間は棒で脅されても揺れなかった賢者として、天によってその名誉を守られるであろう。力によって勝った人間は論理によって勝ったと思い込む。数の論理、腕の論理…それは純粋な知の論理によって勝ったとは言えぬのでその歪みは個人によって気づくか、そうでなければもっとスケールの大きな世間的な論議を呼ぶような形でその人を、引いてはその人を取り囲む集団の名誉や物語に揺さぶりをかけるだろう。見て見ぬふりをして生き残り、勝った人間も数の論理によって勝ったと言うことであり、その責任の放棄による自由の獲得は忘却の中で輝きは色褪せ、いずれ本人たちの良心の
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