をんなひと/
川崎都市狼 Toshiro Kawasaki
僕は何くれとなく世話してくれる
女人ニヨニンを探してゐるのです
稲垣足穂の奥さんとなつた人は
他の作家の使用濟みの原稿用紙を集め
その裏に足穂の文を
書かせたと云ひます
貴女と僕とでは
駄目と駄目がかち合つて
穏便に行きさうにない
足穂はお蔭で傑作が書けたのです
二度目の人生に
踏み出せたのです
破局を迎へたのは
破局した小説家の
いぢけた心根だつたのです
駄目と駄目の
相乘、ではなく
#詩
戻る
編
削
Point
(1)