おみくじの話/ちぇりこ。
空専用の列の最後尾に加わる
さすがに並んでる人は少ない(そもそも人なのか?)
ぼくの順番はすぐにやってきた、百円玉を投入してレバーを引く
ガチャコン、と音がして、小さく折りたたまれたおみくじが排出された
丁寧に折り畳まれているそれを広げてみると
何も書かれていなかった
いや、人には認識出来ない空の言語で記されているのだろう
表も裏も白紙なのだ
少し落胆して境内の細い枝におみくじを結びつけると
晴れているのに雨粒が落ちてきた
よく晴れたお正月の空は
悲しいほど近くて寂しいほど青い
いつかぼくも、空になる日が来るとしたら
きっとおみくじも読めるようになるのかも知れない
どこからかお雑煮の匂いもしてくるし
まあ、そんなもんだ
戻る 編 削 Point(10)