ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
 
みずからをも媒介にして、霊感を吹き込まれるだろう。霊感がなければ霊の顕現もない。」(ノヴァーリス『花粉』33、今泉文子訳)。声が発語者の身体の延長であるならば、書かれた言葉は、書いた者の魂の延長であろう。「語の運びや拍子や音楽的精神を感じとる繊細な感覚にめぐまれた者、あるいは、言葉の内的本性の繊細な働きを身内に聞きとり、それにあわせて舌や手を動かす者」(ノヴァーリス『対話・独白』今泉文子訳)、「詩人の言葉は一般的な記号ではなく──音の響きであり──自分の周囲に美しい群れを呼び寄せる呪文なのだ。」(ノヴァーリス『断章と研究 一七九八年』今泉文子訳)。
 それというのも、人間のうちに音楽があり、意味
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