ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
 
より落つるみなの川(がは)恋ぞつもりて淵(ふち)となりぬる                    (陽成院)

来ぬ人をまつ帆の浦の夕凪に焼くや藻塩の身もこがれつつ                 (権中納言定家)

玉の緒よ絶えなば絶えね永らへば忍ぶることの弱りもぞする                 (式子内親王)

つぎの歌は、与謝野晶子の作品である。

わが恋は虹にもまして美しきいなづまにこそ似よと願ひぬ

「形式(丶丶)は本質的に反復(丶丶)と結びついている。」(ヴァレリー『文学論』第一部、堀口大學訳)「リズムはいたるところにあり──いたるとこ
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