ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
るが、これを書いたときは、まだノブユキとは付き合ったばかりのときで、まさかすぐに別れることになるとは思わなかったのだけれど、この詩の発表の一年後に別れることになった。これまで引用してきたわたしの詩は、すべて、わたしのじっさいの体験が元になったものであるが、「水面に浮かぶ果実のように」という作品は、わたしが学生時代に付き合っていたタカヒロとのことを書いたものだったのだが、いまのいままで、この原稿を書くのに、この詩を制作した日付を調べるまで、ここ数年の間、この詩のことを、ずっと、ノブユキとのことを書いたものだと思い違いをしていたのである。それほど、ノブユキのことを愛していたのだろうか。愛していたのだろ
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