ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
のである。光が光を呼ぶのである。瞬間が瞬間を呼んで永遠になるように。それが、実体験以上に実体験であると感じられるのは、いくつもの体験を、ただ一つの体験として感じられるからであろう。もちろん、意識としては、別々の体験であることを知ってはいても、感覚として、ただ一つの体験であると感じられるからであろう。そして、その感覚は、友人の体験という、自分の体験ではないものをも自己の体験として組み入れるのであろう。それが、自分のじっさいの体験ではないと意識の上では知ってはいても。いや、知っているからこそ、そうするのかもしれない。矛盾している、と。混沌ではなく、混乱でもなく、混雑でもなく、矛盾している、ということを
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