ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
を駈けて行った。
最後に紹介する詩は、わたしの作品のなかで、わたしがもっとも気に入っているものである。これはまた、わたしにとって、わたしの詩にとって、もっとも大事なことを教えてくれた作品でもある。
マールボロ。
彼には、入れ墨があった。
革ジャンの下に無地の白いTシャツ。
ぼくを見るな。
ぼくじゃだめだと思った。
若いコなら、ほかにもいる。
ぼくはブサイクだから。
でも、彼は、ぼくを選んだ。
コーヒーでも飲みに行こうか?
彼は、ミルクを入れなかった。
じゃ、オレと同い年なんだ。
彼のタバコを喫う。
たった一週間の禁煙。
ラブホテルの名前は
『グ
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