ATOM HEART MOTHER。/田中宏輔
 
てつづけに読んでいくと、いささか単調なものに思われてくる。「どんなものも、くりかえされれば月並みになる」(R・A・ラファティ『スナッフルズ』1、浅倉久志訳)ということだろうか。つぎに、音調的により巧妙な技法が施されているものを見てみよう。

春雨や降るともしらず牛の目に                               (小西来山)

何も彼も聞き知つてゐる海鼠(なまこ)かな                              (村上鬼城)

咲き切つて薔薇の容(かたち)を超えけるも                             (中村草田男)

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