首曳きの唄/栗栖真理亜
 


首が一体どこへ消えてしまったのか?
その疑問を解くまで、今は僕だけの秘密にしておきたかった。
このことは、誰にも知られたくはない。
僕と、もはやこの世の者ではなくなってしまった垣ノ内豊以外には。
いや、もしかすると、首の入ったバッグを持ち出した何者かも
何らかの形で僕達の秘密を握ってしまっているのかもしれないが。
僕は教室に着くと、表面上は平常心を装ったまま、いつもどおり自分の席に座った。
このクラスの連中は誰も何も気付いていやしない。
人が一人いなくなろうと、彼らには関係ないのだろう。
変わった様子もなく、黒板に落書きをしたり、ひとつの席の周りに溜
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