首曳きの唄/栗栖真理亜
ついた。
しかし、それを見逃すヤツではない。
僕の言葉を聞いたとたん、ヤツの態度は百八十度変わった。
「ああ〜〜?なんだとぉ?貸せないっていうのか!お前、それでいいと思ってるのか!」
ヤツは僕の襟首をグいっと掴むと、僕の背中を鉄柵に押し付けた。
「や、やめてください・・・!」
僕は必死に哀願するが相手は聞く耳持たぬといった風情で、さらに耳元に怒鳴りつけてきた。
「俺は知ってるんだぜ、何もかも。みんなの前で言ってやろうか?ええ?バラされたくなければなあ、大人しく俺の言うこと聞け!」
「ぼ、僕には何のことだか・・・皆目見当付かないんだけど・・・」
僕は襟首を強く掴ま
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