首曳きの唄/栗栖真理亜
 
掴まれ、金網に押し付けられた圧迫感で息が絶え絶えになりながらも、蚊の鳴くような声で反論した。
「あ〜〜?『何のことだか皆目見当つかない』だとぉ〜〜〜?まだシラを切る気かよ。だったら、ここで言ってやろうか?」
そう言うと、垣ノ内は僕の身体を放り投げるように乱暴に手を離した。
どすっ。
放り出された僕の身体はコンクリートの床に叩きつけられ、もろに背中を強打した。
「つ、痛つつつつ・・・」
僕は余りの痛さにしばらく起き上がることも出来ず、仰向けのまま、しかめっ面をヤツのほうへ向けていた。
ヤツは俺の傍へしゃがみ込むと、鬼の首でも捕ったかのように悠々とした態度になって、喋り続け
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