首曳きの唄/栗栖真理亜
 
るから来てみたんだ。そしたらお前、ぼ〜〜〜っと案山子みたいに突っ立ってるだろ?ビックリしちまったよ」
垣ノ内は手を左右に広げて肩をすくめるしぐさをして見せた。
(だから、なんだっていうんだ・・・!)
僕は眼前で惜しげもなくぺらぺらとしゃべる相手の言動が若干鼻についてきていた。
憎しみすら覚えて、オドオドと横目で相手をにらみつけてやったが、相手は特に気にする風でもなく、嘲笑(わら)い続けている。
「そんなに睨み続けるなよ。トモダチだろ?」
お前とトモダチになった覚えはない!
そう言い返したかったが、例によってウマく言葉が出てこない。
(いいかげん、ウザくなってきた。早
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