首曳きの唄/栗栖真理亜
バタン。
僕はロッカーの扉を閉めて、深い溜息をついた。
何か背筋がゾッとするような気持ちに襲われる。
素早く辺りを見回すと、おそる、おそる、といった感じで目の前のロッカーを見つめた。
(なんとかせねば。)
なんとか、この状況から脱せねばならない。
針のムシロで体中という体中を突き刺されるような思い。
この中には・・・このロッカーの中には人間の生首が入っている。
しかもまだ、胴体から切り離して間もない男の首だ。
切り口から生暖かい血が滴り、手にべっとりとへばり付くあの感覚。
何故このようなことになってしまったのかは分からない。
何が動機で男を殺し、首と胴体
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