柔らかき手の殺意/栗栖真理亜
 
よく掃除をする母親を見ていると。
(やっぱり、僕の思い違いかぁ)
だとすれば、あれは幽霊か何かだったのかな?
僕はそう思った途端、背筋が寒くなって、ブルッと体を振るわせた。
「何か誰かに恨まれるようなことしたっけ? 」
これといって特に身に覚えはないが、よく考えてみればあるような気がした。
(まさか! そんなはずは)
僕はすぐさま思い直した。
人を怨む事はあっても、人から怨まれる事は無かった。
(やっぱ、これも思い違い、かなあ?)
じゃあ、あれは一体・・・。
僕はますます頭を抱え込んでしまった。
(また眠れない夜が続きそうだ)
原因が掴めるまでは
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