柔らかき手の殺意/栗栖真理亜
 
っきり母はぷいっと横を向いてしまった。
「ヘンなの」
僕もひとりゴチる。
会話はそれっきりになってしまった。

自室に篭もってから僕は同じことばかり考えていた。
『それってお母さんへのあてつけのつもりでしょう?』
(そんなこと無いよっ! って反発したけど、もしかして・・・)
考えたくないことばかりが頭の中を駆け巡る。
僕はそこで思考をストップしてしまった。
(やめ、やめ。そんなことばっか、考えてたら頭パンクしちゃう)
第一そんなことありえない。
まだ信じたかった。
たとえどんなことがあろうとも。
気晴らしに音楽でも聴こうと思い、MDコンポのコン
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