戸をたたくのはだれ?/栗栖真理亜
 

しかし、男の身体は思うように動きません。
あまりの予期せぬ出来事に慌てた男が、むりやり身体を動かそうとすると、お腹の中にある錘のせいで、とうとう身体ごと前の方へつんのめってしまいました。
鼻を強か打った男の顔は血で真っ赤に染め上げられました。
「うおう!うおう!なんで身体が重いんだ?おまけに喉もからからだ。」と男は唸りました。
「それはおまえが腹の中に錘を抱えてるからさ!」と、子供達が岩場の陰から笑いながら囃し立てました。
「ぬぬっ!このクソガキども!お前らはさっき、このオレ様が食ったはずではないか!
何故そこにいる!」
大男が困惑した表情を隠せないまま、そう叫ぶと子供達は、口
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