戸をたたくのはだれ?/栗栖真理亜
家へ遊びに行っているからです。
もちろん家には、念には念を入れて、鍵をきちんとかけて、一歩も外へ出歩かないように万全の態勢にしているので、何の心配もないのですが、以前のような事があった為か、何かが起こるような予感が双子の心の中にはあったのでした。
それでも、まあ、川に流された人間が生き返ることもないだろうと双子は自ら納得し、
家で本を読んだり、勉強の予習をしたり、何かをして遊んだりして、その日1日を楽しく充実して過ごしました。
しばらくしてから、例のトントンという戸を叩く音がして、彼らはびくりと振り向きました。
「すみません、電話代の集金に来たのですが。」
その言葉を聞いて、双子の兄弟
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