遠幻の夢/栗栖真理亜
「だめだぁ!できない!」
僕は書きかけの論文をくしゃくしゃっと丸めると、ぽいっとごみ箱へ放り投げた。
放り出されたごみはごみ箱の縁に当たり、近くに転げ落ちる。
もう既に周りはゴミの山と化していた。
(ああああ!締め切りが近づいてきているというのにまだ出来てない!一体何やってんだ!おれは!)
焦ってイライラと髪をかきむしるがむろんそれで何らかの解決方法が見つかるはずもなく、 ついに諦めてゴロンとベッドに横たわった。
(あ〜あ、今日は調子悪いや。明日にでもまた書こうっと)
そこで僕は眸を閉じた。
どこからか香の良い香りが漂ってきて僕の嗅覚をくすぐる。
(なんだろう・・・この臭い。どこ
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