ペーパーホーム/yo-yo
 


初潮という言葉と海とのつながりとかを
ぼんやりと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
私は学校へ行けなくなった

私は紙のにおいが好きだった
鼻をかむ時のティッシュのにおい
障子のにおい
襖のにおい
紙でできた家があったらすてき
そんなことを文集に書いた

けれども紙の家は雨と風によわい家です
とても壊れやすい家です

紙の家を破いて
とうとう弟も家出した
弟のへやの壁に穴があいている
ぬけ殻のように自分のかたちを残していった
威張っていたけれど小さくてかわいらしい穴だ
壁穴のむこうには何もない
弟には何かが見えたんだろうか

弟が
[次のページ]
戻る   Point(9)