瞬篇集『ディストピアの五つの欠片』/佐々宝砂
です。〇〇市役所からお知らせします。各自そこで踊るように」
窓から外を見た生徒が声を上げた。
「みんな踊ってる! なんでだ!」
私の意志を無視して私の手足は勝手に踊り始めた。
「窓から見える景色」
「窓から外を、いや、空を見せてやる」とあいつは言った。あたしは信じなかった。窓はある。つまらない路地や隣の家の壁が見えるような窓で、空は決して見えない。人類みんな地下で生きてるこのご時世にどうやって空を見せる気だ。でもあいつの自信ありげな笑顔に唆されてあたしはレジスタンスに入った。レジスタンス「地上の光」だよ笑っちまうネーミングセンスだな。
一部富裕層が半地下
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