遠浅の日々/霜天
 
載らないほどに広がっていて
道は、膝のあたりまで浸水して行方不明で
どこへも行けない僕らは
波音にただ、漂う


春、深いところの、夜、遠浅の日々
妨げるもののない水平線の広げるその
両手を真似る
目指していた白い灯台はもう白じゃなくて
僕らが積み上げたものは高いビルの下で
倒れそうになりながら回転し続ける歯車
毎日に組み込まれていたものは
ただ静かに広がる
水面


動けない僕らは、ゆっくりと目を閉じていく


後ろに倒れこむようにして
潜り込んでみた遠浅の日々は
思っていたよりもずっと、深い
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