THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
そういったものによってさえ、またできているのである。もしも、世界というものが、じっさいに見えるものや、じっさいに聞こえるもの、じっさいに触れるものや、じっさいに味わえるもの、そういった類のものからだけでできているとしたら、いかに貧しいものであるだろうか? じっさいのところ、世界は豊かである。そう思わせるものを、世界は持っている。


魂は物質を通さずにはわれわれの物質的な眼に現われることがない、
(サバト『英雄たちと墓』第?部・2、安藤哲行訳)


 詩人が、『マールボロ。』から得た最大の収穫は、何であったのだろうか? 右に引用した文の横に、詩人は、こんなメモを書きつけていた。
[次のページ]
戻る   Point(13)