THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
、読者がそこに見出すであろうものとはけっして同じものではないのだが、詩人の友人が現実の世界で体験したこととは、あるいは、詩人の友人が自分の記憶を手繰り寄せて、自分が体験したことを思い起こしたと思い込んでいるものとは、決定的に異なるものであるが、そのようなことはまた、詩人のつくった世界が現実にあったことを、どれぐらいきちんと反映しているのか、といったこととともに、詩というものとは、まったく関係のないことであろう。求められているのは、現実感であり、現実そのものではないのである。少なくとも、物理化学的な面での、現象としての現実ではないであろう。もちろん、言うまでもなく、詩は精神の産物であり、詩を味わうの
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