THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
その出来上がった詩を目にしてはじめて、わたしのこころのなかに生まれた感情がある。それは、それまでのわたしが、わたしのこころのなかにあると感じたことのない、まったく新しい感情であった。まるで、その詩のなかにある言葉の一つ一つが、わたしにとって、激しく噴き上げてくる間歇泉の水しぶきのような感じがしたのである。じっさい、紙面から光を弾き飛ばしながら、言葉が水しぶきのように迸り出てくるのが感じられたのである。また、そのうちの一つのものに、『マールボロ。』という詩の形をとることによって、言葉たちがはじめて獲得した意味がある。それは、その詩が出来上がるまでは、その言葉たちがけっして持ってはいなかったものであり
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