THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
きるということは、わたしに、人生について、いや、人生観について考えさせるところが大いにあった。ある事物や事象を目の前にしたときに、即断することが、いかに愚かしいことであるのか、そういったことを、わたしに思わしめたのである。

 一方、詩人は、つねにといってもよいほど、ほとんど独断し、即断する、じつに思い込みの激しい性格であった。


ただひとつの感情が彼を支配していた。
(マルロー『征服者』第?部、渡辺一民訳)

感情が絶頂に達するとき、人は無意識状態に近くなる。……なにを意識しなくなるのだ? それはもちろん自分以外のすべてをだ。自分自身をではない。
(シオドア・スタージ
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