世迷言トゥルース/ホロウ・シカエルボク
 
これはただ、現実としてそういうことがある、という程度の話に過ぎないんだよ、何の用事も思いつかなかったので散歩でもすることにした、近くの繁華街を歩いて、本屋でも覗くのさ、本当はCDなんかも物色してみたいけれど、繁華街に唯一残っていたCDのショップもとうとう閉めてしまった、もう徒歩圏内にCDが買える店なんて残っちゃいないのさ、まったく嘆かわしい話だぜ、アンプにスピーカーを繋ぐことすら知らないようなのが、デジタルデータをブルートゥースイヤホンを耳に突っ込んで聞きかじってわかったような口をききやがる、そんなものは音楽なんかじゃない、彼らは自分でそれを選んだと思っているけど、実は掴まされてるだけなのさ、俺の言ってることを懐古主義の老人の戯言だと思うかい、まあどんな風に思ってもらってもいいけれど、でも、これだけは言っておきたい、全部がそういう言葉で片付けられると思ったら大間違いだ、紙とペンしかなかった、木を削って作った簡易的な楽器しかなかった、そんな時代から変わらずに受け継がれている真実というものは必ずあるんだよ、さて、じゃあそろそろ出かけるから、またな。


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