顕霊鏡、風と空と*/ひだかたけし
 
今宵 緑なす
グラウンドに
何時からか
寝そべる男、

半月の光響き銀の色
時を染め抜き刻む音

聴き入る
男の眼瞼
俄に
痙攣し、

到来する時の間に間に
風吹き流るる光滴の空

何時しか
枯れゆく緑の
グラウンドに
寝そべる男の肉身
輪郭残し既に虚ろ

水とパンを少し食い
石を呑み込み命果てる

只 何時からか

魂の木霊の果て無き残響 、

凍結した時の代突き抜け 風と空と伴に












*石原吉郎『風』へのオマージュ










戻る   Point(5)