寝起きの話/はるな
起きたら形を保てなくなっていた。
持ち上げた腕がとろりと流れ、指は境目を失い、膝を立てようにも重たく淀む。なんとか頭を起こして身体の様子を見られるようになるまで40分近くかかってしまった。
記号が、そこら中にばら撒かれて、足の踏み場もない。あれもこれも捨てなければならないか、と持ち上げると指のかたちに消滅していくのだった。
願った世界が、現れるとしたらこんなふうなのかもしれない。願ってもない現実しか過ごしてこなかったから、ちょっとどうしていいかわからない。ああ外に出れば、願っただろう願っただろうと指を差されて弾劾されるだろう。
外は、でも黄色に光りながら回転している。ゆっくりと、ねじれ
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