寝起きの話/はるな
 
じれるように地平が混じり合っていく。あ、あそこで全部同じになるのか。わたしは理解する。無い形で、膨らむ頭で、すり潰されていく世界を理解する。

それって世界じゃないんじゃない?
と君が言うから、でも君は嘘で出来ていて、だからちゃんと人間の形をしている。

戻りぎわ、君が肯定することを望んでいる。
私は君の肯定のなかで息をするから。でも君は言わない、これが世界だと言わない。わたしは息をできない。どこにも息が残っていない。隅の存在しない部屋のなかで壁を目指して這っていくとき、形を取り戻しつつあるわたしの震え、まばたき、涙とか、質量に沿って、正しく倒れゆく意識、世界は光ってなんていないよね、そうだよ、もう一度眠っておいで。苦しい、眠ると疲れてしまうから、起きていることにしたんだ。大丈夫って君は言う、そんなわけない、消滅していくのだった、あれもこれもが、全部同じになる。

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