哀しみの果て 、ビューティフル・デイ/ひだかたけし
 
早朝に、すっかり白髪の頭抱えたお婆さんが
道端で一生懸命にちり取りに塵を掃き集めて居る
朝陽を受け頭の綺麗に白銀に輝き塵埃澄んで舞い上がり
大股で通り過ぎる僕をちらり見上げるお婆さん、
想わず顔俯け見遣る僕は
すっと触手伸ばして来たお婆さんの眼と出逢う
あゝ人の眼ってこんなに濡れて温かかったんだよな
彼女の顔ににっこり皺が寄り僕は哀しみでいっぱいになる

あの頃出逢ったあの眼を持つあの顔の人、人、人、

引き寄せ寄り添い合い突き放しては別れまた引き寄せ
そんなことを繰り返している内に
自分ひとりこの世に生き残り初老を迎え生きて居る
人と人、互いの表層を撫で合っては滑り落ちていく
壁を這う蝿の如く、
この血を流す廃墟となった世界から早かれ遅かれ

  *

瞑目する意識の視界 次第に光の熱充満させ

僕は冬晴れの今日をまた生きる、

生きること生き残り生きて居ること 、
哀しみの滴拾ったらお外へ外へ 更に外へ

終わることの無い自らとの闘いだ




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